センター長挨拶

第四期中長期計画を迎えて

センター長 小幡裕一 (理博)

センター長
小幡 裕一 (理博)

2018年(平成30年)4月1日、国立研究開発法人理化学研究所(理研)は第四期中長期計画を開始します。同日よりバイオリソースセンターは、バイオリソース研究センター(BioResource Research Center : BRC)と改称し、世界最高水準のバイオリソースの収集・保存・提供を行うとともに、バイオリソースの利活用に資する研究開発を推進します。

バイオリソースは生物遺伝資源とも呼ばれ、生命科学の研究開発において必要不可欠な研究材料を指します。理研BRCは、2001年創立以来、バイオリソースの中で最も主要なリソースである実験動物マウス、実験植物、ヒト及び動物由来の培養細胞株、遺伝子材料及びこれらのバイオリソースの特性情報にも焦点をあてて事業を展開してきました。2005年には微生物も対象に加えました。理研BRCは、半世紀に亘る研究コミュニティの要望と政府の理解と支援を得て、理研が設置した生命科学のための研究基盤です。期待に応えるために我が国で開発された独自のバイオリソースを中心に整備し、世界でもone and onlyのセンターとなることを目指してきました。また利用されて初めて価値のあるセンターであり、利用価値が高く、かつ実験結果の再現性を確保したバイオリソースを整備・提供することを使命としてきました。これまで、研究コミュニティの多大な支援を受けて、当センターの各バイオリソースの整備・保存数は、世界の三大拠点の一つにまで成長しました。また近年は、年間約16,000件、通算では250,000件に近いバイオリソースを国内約7,000機関、国外69ヶ国約5,000機関に提供してきました。これらのバイオリソース整備事業に加えて、増加する一方のバイオリソースを安定的かつ効率的に保存するための基盤技術開発事業、またニーズに応えるための新規バイオリソースの開発やバイオリソースの特性解析を行うバイオリソース関連研究開発プログラムを実施してきました。

研究基盤には継続的かつ安定的な運営が求められます。しかし、そこにはニーズが存在することが前提条件であり、社会ニーズ、研究ニーズ、そして研究動向を把握し、必要とされるバイオリソースを整備・提供する必要があります。研究は生き物であり、次々と新しい分野が開拓され、新しいバイオリソースが開発されると同時に必要となります。従って、バイオリソースの整備方針については継続性と先導性が、組織体制については、継続性と流動性が求められます。このような観点から、第四期中長期計画について、2年以上前からセンター内で議論し、さらに国際諮問委員会であるバイオリソースアドバイザリーカウンシル、国内諮問委員会である5つのリソース検討委員会、また研究開発担当のレビュー委員会の助言・提言を受けて検討を重ねてきました。その結果、既存の3開発チームの活動を終了し、新しく3開発チームをバイオリソース関連研究開発プログラム内に設置することにしました。新設の3チームは、我が国発の発見・発明であるiPS細胞、特に難病患者由来のiPS細胞を用いた創薬研究を加速するための「iPS細胞高次特性解析開発チーム」、環境と食料の研究を推進するための「植物―微生物共生研究開発チーム」、そして、難病と加齢性疾患の最適化医療の実現を目指す「次世代ヒト疾患モデル動物開発チーム」です。さらに2017年度に京都府ならびに理事長の支援を受け、京都大学iPS細胞研究所との連携で発足した「iPS創薬基盤開発チーム」は、本年4月よりけいはんな地区に設置した研究室において本格稼働します。加えて、2部門が存在した情報部門を統合・拡充し、「統合情報開発室」として設置しました。

BRC設立に向けて、2000年に公表された「バイオリソースセンター設立準備委員会報告書」(委員長:菅野晴夫・元癌研究所長、副委員長:森脇和郎・前バイオリソースセンター長)には「BRCの名称には『研究』を入れること」とされていました。様々な理由で「研究」という文字は入れずじまいとなっていましたが、18年を経てやっと入れることになりました。「リソースなくしてリサーチなし」ですが、逆に「リサーチなくしてリソースなし」も真実です。バイオリソース研究センターは、リソースとリサーチが最大限の相乗効果を発揮できるように創意工夫を重ね、引き続き「信頼性」「継続性」「先導性」を事業の柱として、研究基盤として活動してまいります。皆様のご支援をお願い申し上げます。