疾患モデル評価研究開発チーム

疾患モデル評価研究開発チーム

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ミッションと事業概要

チームリーダー 野田 哲生 (医博)
チームリーダー
野田 哲生 (医博)

  ヒト疾患モデルマウスをリソースとして役立てるためには、原因となる遺伝子変異の解析と、発症機構・病態の分子基盤に関する情報が必須である。我々はマウス変異体を用い、新規ヒト疾患遺伝子の同定と、発症メカニズムの解明を進め、更に新しい表現型解析技術としてメタボローム解析技術を応用した方法の開発を進めている。また、発がんモデルマウスでの解析を基礎とし、ヒトがんの治療薬や治療方法の開発に向けてより直接的な応用ができるリソースとして、ゼノグラフトモデルの開発に取り組んでいる。

平成28年度の成果

  1. 新たなヒト疾患モデルマウスを開発し、その発症機構を解明する
      今期は、マウスの食道癌の発症に関与し、ヒトDarier 病の原因遺伝子として知られるSerca2 遺伝子の新規変異マウスを用い、遺伝子変異部位の違いによるがん発症・進展の長期的差異について解析し、その結果を報告した。また、ヒト遺伝性難聴のモデルとなるマウスの難聴系統から遺伝子変異を検出し、新規難聴遺伝子を検索すると共に、その機構解析により、ヒト難聴の発症機構解明に資すると共に、治療法開発のためのリソースとして有用なモデルの開発を進めている。
  2. モデルマウスからヒトがん治療への橋渡しに必要なリソースを充実させる
      がん治療の標的となる新たな遺伝子の探索及びその有効性評価に不可欠な、ヒト病態を反映するマウスモデルを開発し、その解析系を確立する。今期は新たに腎臓がん、胃がん、卵巣がんなど各種のヒトがん由来細胞全7 株について、マウス皮下移植モデル(ゼノグラフトモデル)を開発し、これまでに45 株のゼノグラフトモデルを確立した。さらにヒト由来がん細胞の移植腫瘍組織における有効性の評価のために、がん細胞の増生、細胞死、腫瘍構築及び悪性化(浸潤・転移抑制)のメカニズムに関する基礎的な12 項目並びに詳細解析マーカーを加えた評価システムを整備した。また、より人に病態を正確に反映する実験系の構築の試みとして、(公財)がん研究所との共同研究により、患者由来のがん組織をマウス皮下に移植する、ダイレクトゼノグラフトモデルを用いた実験系を確立し、有効性評価の検討を進めている。
  3. メタボロミクスによるバイオマーカー探索へ向けて
      疾患を事前に予測するバイオマーカー探索を目的として、生体内の代謝物を網羅的に調べるメタボローム解析技術を開発している。一般的なH1-NMRと同時に、H1-C13NMR計測を用いて物質の同定を行い、また、これまでにメタボローム解析に用いられている様々なデータ解析方法を検討した。近年開発された解析法のMCR-ALS法を更に発展的に改善できないかを検討し、多群かつ定量的な解析を可能とする独自の手法を開発し、報告した。この新手法、Cluster aidedMCR-ALS法は、NMRメタボローム解析において、従来の5倍以上の解析能力を示し、更に他のスペクトル解析においても多面的な応用が期待できる。なお本研究は植物科学研究センター・先端NMR メタボミクスチームとの共同研究である。


図 先端的解析技術開発と疾患治療への橋渡しに必要なリソース開発